2015年10月22日木曜日

銘柄を明かさない理由46

登場人物紹介
・先輩:Yの取引口座があるA証券の長期運用部門を担当する天才女性トレーダー
・後輩:先輩の後輩
・A:A証券に取引口座を持つ、若くして頭脳派の無敗の個人投資家
・J:A証券に取引口座を持つが、自身の口座では取引きしない無敗の個人投資家、実はY。
・先生:「売り」「買い」のどちらもとれる大物相場師
・Y:運用額は小額ながら、無敗の個人投資家、当ブログの管理人

都内某所にて
「先生」と呼ばれる高齢の男は、今までの激動の人生を回想していた。
「先生」は地方の貧農の家に生まれ、ろくに教育も受けさせてもらえなかった。
都会へ出れば、何か仕事にありつけるかもしれない。
そう思った「先生」は、着の身着のままで、戦争の焼け跡が残る街へ出てきた。

現実は、そんなに甘くはなく、路上での生活が何ヶ月も続いた。
そんな、ある日、青年だった「先生」を助けてくれた男がいた。
男は相場師で「先生」に住むところを与え、いつも取引所へ一緒に連れて行ってくれた。
相場師は「先生」によくいった、相場で勝つのは簡単だ、他の奴らの裏をかけばいいと。

ある日、その相場師は、信用取引で大きな勝負に出た。
ところが売りで入った株は、予想に反して、連日、高値を更新した。
その相場師はいった、いいか、ここから更に売りを仕掛けるのが、本当の相場師だと。
その後も、株は高値を更新し続け、相場師は莫大な負債を抱えた。

ある日、一枚の手紙を残して、相場師はいなくなった。
手紙には、俺みたいになるな、信用取引だけはするんじゃねえぞ、とあった。
青年だった「先生」が思ったことは違った、俺なら、もっと上手くやると。
それから「先生」は、相場の世界を死に物狂いで駆け抜けてきた。

暴落相場で、デッドキャットバウンスを見つけたら、売り叩く。
かたや、セリング・クライマックスになったとみれば、全力で買い向かう。
「先生」は、株式投資において、天才的な才能を発揮した。
無敗の「先生」は、いつしかキング、略してKと呼ばれるようになった。