2015年10月24日土曜日

銘柄を明かさない理由47

登場人物紹介
・先輩:Yの取引口座があるA証券の長期運用部門を担当する天才女性トレーダー
・後輩:先輩の後輩
・A:A証券に取引口座を持つ、若くして頭脳派の無敗の個人投資家
・J:A証券に取引口座を持つが、自身の口座では取引きしない無敗の個人投資家、実はY。
・K(先生):「売り」「買い」のどちらもとれる大物相場師
・Y:運用額は小額ながら、無敗の個人投資家、当ブログの管理人

都内某所にて
Kは、ずっと一人で暮らしてきた。
惚れた女もいたが、相場師を生業としていれば、いつ何が起こるかわからない。
万が一のとき、家族を路頭に迷わせる訳にはいかないという思いからだった。
しかも、金さえあれば、欲しいものは何でも手に入るので、不自由はしなかった。

Kは遺言状を作っていた。
自分が亡くなったら、家屋敷を処分、全財産を故郷に寄付するという内容だった。
数ヶ月前、Kは株を手仕舞いした、あとは静かに余生を送るだけだった。
ところが、そんなKを、あるブログが変えた。

以前に出入りしていた証券会社の担当が、教えてくれたブログだった。
何でも、その会社の一部の社員が、そのブログを参考にしているという話だった。
話を聞いたとき、プロが素人のブログを参考にするとは、世も末だと思った。
だが、プロが参考にするブログを読みたいという気持ちの方が強かった。

そのブログの管理人は、運用額は小額だが、そこそこの実績を上げていた。
投資手法に荒削りなところはあるが、「買い」の手法はKと重なる部分が多かった。
Kの関心を集めたのは、管理人が投資手法を無償で公開していることだった。
しかもブログからは、管理人が株を楽しみながら行っていることが、伝わってきた。

Kにとって、株は生きるための手段だった。
人のために何かをしたり、ましてや楽しみながら、株をしたことは一度もない。
故郷に寄付する額は多ければ多いほどよい、Kは株を再開することにした。
楽しみを分かち合えるよう、先ずは管理人の推奨する銘柄を買うことにした。