2015年10月25日日曜日

銘柄を明かさない理由50

Yは公園のベンチに座り、遊具で遊ぶ子供たちを見ていた。
いつの時代も格差は存在し、経済的弱者はいる。
大人になれば、厳しい現実社会が待っている。
しかし、この子たちの何人かは、将来、魔法のバトンを受け取るかもしれない。

魔法のバトンを受け取ったら、しなくてはならないことが三つある。
一つ目は、株式投資で得た利益を、消費することで社会へ還元する。
二つ目は、税金を納めることで、経済的弱者への援助やインフラ整備に役立ててもらう。
そして、三つ目は、一人でも多くの人に、魔法のバトンを手渡すことだ。

5年間にわたり、多くの人に魔法のバトンを手渡してきたつもりだ。
そろそろ休ませてもらっても、誰も文句はいわないだろう。
「休むのは、まだ早い」と、誰かの声が聞こえた気がした。
しかたない、もう、しばらくの間、魔法のバトンを手渡し続けるか、Yは家路についた。

空には、「祝!東京オリンピック開幕」と描かれた飛行船が漂っていた。