2016年7月2日土曜日

銘柄を明かさない理由R97 その男、相場師につき

第97話 その男、相場師につき

調査会社に勤める男は、会社帰りだった。
男の資産は、日々、数十万円、場合によっては百万円単位で増減する。
電車の中で、スマホを操作する会社員やOLを見て、男は思う。
スマホでゲームして、何が楽しいのか。

自分から見ると、彼らは負け組だ。
人生で生きる時間は、限られている。
スマホのゲームにしか夢中になれない負け組。
結局、ゲーム会社のいいカモになっていることに気づいていない。

無料だし単なるヒマ潰しだという奴もいるだろう。
だが、ヒマがある時点で負け組だ。
なぜなら、勝ち組にはヒマにしている時間はないからだ。
勝ち組は、常に自分にとって大切なことを考えている。

もちろん人生、勝ち負けが全てではない。
だが負け組みのネガティブ思考は周囲に悪影響を及ぼす。
やがて周囲も、ネガティブな思考を持つようになる。
まさしく、負のスパイラルだ。

途中の駅から、顔を赤くした会社員の2人組が乗り込んできた。
2人組は仕事や給与への不平不満を口にしている。
不平不満を口にしたところで、何も変わらない。
不平不満があるのなら、満足するにはどうすればよいか考えるべきだ。

男は会社勤めの傍ら、株式投資による資産運用をしている。
愚かな話だが、株式投資はギャンブルだと思っている人が大半だ。
真の株式投資を理解していれば、株式投資はギャンブルにはなりえない。
株式投資は、預貯金より効率のよい優れた運用方法だ。

以前は、貯蓄による資産運用もありだと思っていた。
だが、今の低金利では貯蓄は資産運用とは呼べない。
なぜ皆、そのことに気づかないのか。
また、気づいていても行動に移さないのか。

個別株への投資こそ、最強の資産運用だ。
おそらく負け組には、一生かかっても理解できないのだろう。
やがて、電車は男の自宅の最寄り駅に着いた。
男がホームへ降り立つと、負け組を乗せた電車は次の駅へと走り出した。