2016年9月22日木曜日

銘柄を明かさない理由R137 You spin me round(中編)

第137話 You spin me round(中編)

「元気そうだな」と会長がいい、「おかげさまで」、無敗のクイーンが答える。
「資産は順調に増えているようだな」、会長がいう。
「ヒマじゃないので、本題を仰ってもらえますか」、無敗のクイーンがいう。
「か、会長に向かって、その態度はなんだ」、いつもは温厚な社長がいう。

会長が片手を上げて、社長を制する。
「実績を上げているのだ、責めるな」、会長がいい、社長は口を閉じた。
そのとき、社長室のドアがノックされた。
「来客の方がお見えになりました」、社長室秘書がいい、「通せ」と会長がいう。

社長室に入ってきたのは、イケメンの芸人に似た男、浪花の相場師こと淀屋だった。
「よく来てくれた、かけたまえ」、会長がいい、淀屋は無敗のクイーンの横に座った。
「なぜ、きさまがここにきた」、無敗のクイーンが淀屋にいう。
「相変わらずでんな、面白い話があるって呼ばれたからですやん」、淀屋は笑みを浮かべた。

「なんだ、2人は知り合いだったのか」、社長が聞く。
「ワテの理想のタイプやったんやけど、振られましてん」、淀屋が泣きまねしながらいう。
「それ以上いうと、後で叩きのめすからな」、無敗のクイーンが淀屋を睨みながらいう。
「どうやら、紹介する必要はないようだな」、会長がいい、本題を話し始めた。

「大手の外資系証券会社が株式評論家を使って相場を作っている。
株式評論家の推奨した株を買いあがる古典的なやり方だ。
ワシは持てる力の全てを使って、ふざけた奴らを叩き潰すつもりだ。
貴様らに何かしろとはいわん、ただの情報提供だ」会長がいう。

「アルカディアには、理想郷という意味があります。
誕生した時点で、アルカディアは既に理想郷なのです。
我々は理想郷を侵略しようとする者は、誰であろうと排除します」
無敗のクイーンは毅然といった。

「情報おおきに。
ワテらは世界に先駆けて、先物取引市場を作らせていただきました。
外国人が国内の相場を作るのは面白いことおまへんな。
ワテらはワテらなりのやり方を取らしてもらいますよって」、淀屋は笑みを浮かべていった。

その頃、淀屋と付き合っているモップちゃんこと無敗のテンは、1人考えていた。
リーダー、何かあったのかしら、社長室へ呼び出されるなんて。
もし運用成績のことで呼び出されたのなら、わたしにも責任がある。
いても立ってもいられなくなったテンは、席を立ち社長室へ向かった。