2016年10月3日月曜日

【短編小説】娘が持ち帰った物

【短編小説】娘が持ち帰った物

調査会社に勤務する男には、大学生の娘がいた。
大学生の娘には、同じ大学に通う同級生の彼氏がいる。
ある日、彼氏の実家にお泊りさせてもらった娘が米を持って帰ってきた。
なぜ、娘は米を持って帰ってきたのか、男は調査することにした。

男は娘にどこの米か聞いた。
娘によると、彼氏の実家が作った米とのことだった。
当たり前だが、米を作るには農機具が必要になる。
どれだけの農機具を所有しているのか、男は思った。

男は娘に、彼氏の実家の間取りを聞いた。
娘によると、大きな家で多くの部屋があったらしい。
彼氏の親は、多くの土地を所有する大地主かもしれない。
男は本格的な調査を開始することにした。

男はPCを起動し、グーグルマップを立ち上げた。
娘から聞き出した彼氏の実家の住所を入力する。
表示されたのは、民家の少ない地域だった。
航空写真に切り替え拡大すると、周囲を田畑に囲まれた大きな家屋が現れた。

これか、男はストリートビューに画面を切り替えた。
大きな家屋が建つ敷地には、複数台の車が停まっていた。
車は全て国内最大手メーカーの車だった。
車の趣味はわるくない、男は笑みを浮べた。

地元の法務局へ行けば、公図や登記簿謄本を閲覧することができる。
誰がいつ、その土地を購入し、所有しているのかがわかる。
あとは法務局へ行き、どれだけの土地を持っているか調べるだけだ、男は思った。
翌日、男が社長に提出した出張願いは、即、却下されたw